「化粧濃いだけあって道具多いな」
「別にいいじゃないっ。返してよ!」
「うるせぇ。いいから、そこの鏡の前に座れ」
「はあ?意味分かんな――」
半ば強引にあたしの腕を引っ張り、ドレッサーの前の椅子に座らせる。
意味が分からなくてキョロキョロするあたしの髪の毛を優しく撫でる藤野耕太。
「ドレスは着ていただけることはできませんが、よかったらメイクアップしませんか?」
なんで、コロコロと裏表を変えるのよっ。
それに、どうして男にメイクアップしてもらわなきゃいけないの?!
「……あんたにメイクアップなんてできないでしょ?!」
「…………バカにしてんのか」
「してないけど!っていうか、どっちかにしてよっ」
「絶対に動かないでくださいね」
ガシリとあたしの頭を掴み前に向けた藤野耕太は、ことさら甘い笑みを浮かべる。
た、確かに甘い笑みなんだけど、怖い甘さだって!それは!
藤野耕太はあたしの化粧ポーチの中身を乱暴に漁り鏡の前に取り出した。

