訂正しようと思ったけど、なんかもうすべてがめんどくさく思えてならなかった。
ちらりと優衣を見えば、若干不貞腐れてるみたいだけど、見ないフリ。
「はあ……寝るっ」
もう何も考えたくない。
考えれば考えるほど、耕太が優しくみえてくるんだもん。錯覚にもほどがあるわ。あんなやつが優しいだなんて。
絶対ありえないもの。
重い荷物持って歩幅合わせて車道側歩いてくれたり、あたしをたくさん泣かせて寝ちゃったとき背広をかけてくれたことだって全部。
全部作戦に決まってるの。
だから、騙されちゃ駄目なのよ、絶対。
布団に潜り込んだあたしは、ぎゅっと目を瞑って眠りに誘われるのをじっと待つ。
「お、おやすみ……」
部屋の電気が消え、優衣の声が聞こえたところで、あたしは体の力が抜け、眠りに誘われた。
目が覚めたのは、たぶん階下から聞こえてくる滑らかな演奏の所為だと思う。
起き上がって、隣にあるベッドに目を遣れば、やはり優衣はいない。
欠伸をしながら、両手を上に突き上げ立ち上がり、階下へと下りた。

