ラスト プリンス



「ねぇ、優衣。 耕太ってね、あの大失敗の都築(つづき)先輩より、顔だけは遥かにかっこいいのよ」

 めちゃくちゃかっこよくて、サッカーも上手かった都築先輩は、同い年や後輩の女の子からの憧れの存在で。

 そりゃあ、もう。毎日のように女の子から告白されるようなそんな人だった。

 そんな都築先輩を中一の時からずっと大好きで、いわゆる“初恋”っていうものだったと思う。

 あたしが都築先輩に告白したのは中二の夏頃だったかな。

 人生初めての告白は、予想外にも上手くいき、付き合うことになったのは、もう間違いだった。

 今考えればおかしな話だったのよ。

 初めてのデートだって、二駅くらい隣の街で、別にそこの街に行かなくても、あたしたちが住む街もそんなに田舎っとほどでもない。

 それに、付き合ってることを内緒にしろとか、学校で話し掛けるなとか。

 なんでだろう、と思ってもまだ恋愛に対して免疫がなかったあたしは、付き合えるだけで幸せ、なんて思ってた。

 付き合って一ヶ月もしないうちに、彼が背が低く可愛らし女の子と歩いているのを見たっていう噂が流れた。

 その噂が引き金となったのか、その背が低く可愛らし女の子――同じ中学の先輩は恥ずかしながらに彼と付き合ってる、と断言。

 それによって、『何嘘ついてんのよ!』とか『あたしが彼女なんだけど』とか。