パタン、とドアが閉まった音とともにくるりとこちらを向いた藤野耕太。
あたしも背が高い方だけど、さらに背が高い藤野耕太から見下ろされたあたしは硬直してしまった。
「……お前さ」
と突然あたしの顎を捕らえた藤野耕太の大きな手。
くいっと顎が持ち上げられ、お互いの顔がぶつかるまであと数センチのところで、ぱっと手が離された。
正直、残念って思ってる。
だって、明るいところでよくみたら、襟足はそんなに長くなくて整髪剤で軽くセットしてある黒髪に、二重なんだけどキレがある瞳。
どれもこれもストライクなのよね、藤野耕太って。
藤野耕太は、あたしから離れて手鏡を持ってきた。
「自分の顔。見たほうがいいんじゃねぇの?反乱が起きてる」
「あっ!!」
完璧に忘れてたっ。
ボロボロに泣いて、化粧が落ちて、それをこのボサボサの髪の毛で隠したんだった!
渡された手鏡を覗いてから、鞄を漁り化粧ポーチを――
って取られたーっ?!

