不器用なボク~先生と生徒の関係~

夏休み…か。

去年までの僕なら何も感じなかったはずなのに、今年は夏休みっていう言葉が僕に嫌な気持ちを与える。


ウルサイ雑音達とは会わなくていいから、好きだった。


けど、今年は違う。


何か、嫌な気持ちでモヤモヤと僕の心の中に霧がかかったように……


「遊んでばかりじゃダメよー。じゃあ、気をつけて帰ってね」



いつもの先生の言葉で、いつものように学校は終わる。


もちろん、帰宅部である僕だけの話だけど。


他のクラスメート達は、最後の大会だか知らないけど、運動部の連中は鞄を背負って教室を出て行く。


それぞれが目的の地へと向かって。


僕はというと、まだ自分の席で立ち上がらずに座ったままでいた。


先生の姿が教室から消えるまで、そっと見ておきたかったのから。


ほんの数分、数秒でもいい。


遠くからしか見れない弱虫な僕の精一杯の勇気。


ただ、今はそれだけしかできない僕。


それから、先生は女生徒と笑いながら教室を出て行った。


僕の視線には、気付く事なくーーー……