青白い炎が手の平から、ぼっと灯る。


これが手品であれば種があるのだろうが、狐面の少年がそうであるのは、現実的に考えにくい。それに――夏野の言動が、真実味をおびているではないか。




“狐面の少年は人間じゃない”



本音を言えば怖い。でも、夏野が守ってくれる。それが唯一の、安心感だった。



でも何か引っ掛かる――……



次の瞬間、酷い頭痛に襲われ冷たい土の上に崩れ落ちた。



「桃花!!!」



どうして、名前……。



「桃花、大丈夫か!?」



桃花はズキズキ痛む頭を押さえながら、しゃがみ込み焦ったように、名前を呼ぶ夏野に驚く。



どうして……そんなに心配してくれるの?



動揺する夏野に、大丈夫だと言いたくても痛みで、言葉にならない。



「一種の呪いだよ。思い出せないように、はじめからなってる。――ねえ夏野。もっと、遊ぼう?ようやく巡ってきた夏なんだから」

「…………冗談いえ。今年の夏で、終わらせるに決まってるだろ」



夏野は心の中で舌打ちをした。



この状況を打開する手段など、今は持ち合わせていない。絶体絶命とまではいかないが、さすがにまずい。



そんな時だった。