秋の始まりの季節だった。

少し肌寒くて、首周りを暖めながら駅前で待ってた。


『今度の土曜日、平気かな?
駅前で待ち合わせしよう。
俺はスーツで行くから。
目印にバーバリーの紙袋下げてく。』


バーバリーの紙袋のサラリーマン。
目を凝らしてずっと見てた。

あー、でも駄目。

目が疲れてきた。

仕方なくケータイを眺める。
メールは来てない。


すっぽかされたかなぁ・・・。

出会い系の女に本気で会おうだなんて思わないか。


そんなことを思ってたら、目の前にサラリーマンが現れた。
手には、バーバリー。


ふと目を上げればケータイが震えだした。


『今、目の前にいるんだけど。』


ディズプレイに表示された文字。
それに笑った。


「口で言えばいいじゃん。
初めまして、平凡リーマンさん。」


あたしはケータイを閉じた。