―ガチャ

彩と白夜の部屋を繋ぐドアを開けて白夜が、出てくる。

「うるさい…何か用があるのか?」

白夜に向かい礼をとる彩、それだけで含みがあることに気づくというもの。


そしていつもより濃い化粧、手首のブレスレット、無表情の彩。


「陛下………?」

「俺が妻の部屋で寝坊したらまずいのか?」

「いいえ、かまいません、次からはきちんと見てから報告に来なさい…」

ため息をつき、メイドを叱り、出ていく。
メイドから睨まれたが、そんな事どうでもよくなっていた。


ふたりが出て行ったあと白夜が口を開く

「護衛を変える、男ふたりに女ひとり、午前中はお前も妻として朝議に出ろ、午後は家庭教師を付ける」

「はい。」

「なんだ、大人しいな?昨日ので疲れたか…?」

「いいえ」

俯き下ろしたままの黒髪が流れる。
そういえば、厨房にお邪魔したかった事を思い出す。

が今の彩には、すべてどうでもいい事だ。


――ただ、私のせいで淑鵬と疾がどうにもなってない事を祈るのみ。



.