枕の上に本を乗せ、その上に彩は俯せで寝ている。


深夜を少し越えた辺りで、彩の部屋に忍び込むひとりの男。


「はぁ…そのまま爆睡とは…馬鹿だな」

彩の寝室に忍び込める人物など一人しか存在しない。この龍国で。


魔法で本を退かせ、サイドテーブルに下ろし、彩の腕を解き、横向きの体制にする。


机の上にあるメモを見る。

「やはりな…諦めてないのか」


そう呟き、電気を消して出ていく。


今日も青龍王、白夜は徹夜をし、目の下の隈が濃くなる。




朝、小鳥の囀りで爽やかに起きた彩は、シャワーを浴び身支度を整え、部屋から出ていく。


白夜を起こさないようにこっそりと。


「ふぅ…おはようございます、お疲れ様です」

部屋の扉の前の門番に、挨拶をしたら、ポツポツと挨拶がかえってくる。


昨日の門番が、執務室の所にいて、今日から彩付きの護衛として、ここから先に行ける様になり、階級も上がったらしい。



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