そうして施設に入り、マーガレットは後ろ手に手錠をかけられて合金製の檻の前に立たされる。

 檻の中にはまだ目を覚まさないベリルが寝転がっていた。

「眠ってるフリはやめろ」

 アーヴィングが言い放つと、目をぱちりと開いてゆっくり立ち上がった。

「!」

 マーガレットの首にナイフを近づける男に動きを止める。

「いいの、何も言わないで。あなたはこの男の言いなりになっちゃダメ」

 彼女は震えた声で吐き捨てるように発した。

「ククク……勇敢なお嬢さんだ」

「あうっ!?」

 笑いながら彼女の腕に刃を走らせる。

「! よせ!」

「返事は?」

「……」

 苦い表情を浮かべる彼に口の端を吊りあげ男は問いかけた。