「人のために犠牲になるなどバカらしくなったのさ。俺は自分のために生きる」

「あなたはかつては素晴らしい傭兵だったとベリルは言ってたわ。なのに……」

 少しふるえた声で発し怒りを真正面からぶつけた。

「自分の力を自分のために使って何が悪い」

 40歳を越えたアーヴィングは金に心を奪われた……

『もっと金を!』

 そのためにベリルを利用するつもりなのだ。

「……」

 そんな事のために彼を利用していいワケが無い。彼を助けたい。

 でも……一番それを邪魔してるのは私なんだ。

 しばらく走っていた車は、ゆっくりと何かの施設に入っていった。