マニア・タイフーン

「どうしてそこまで彼に執着するの?」

 対面式のシートの向かいに手錠をかけられて座っているマーガレットがアーヴィングを睨みながら訪ねた。

 男は、自分の隣で意識のないベリルを一瞥する。

「誰でも倒れない部下は欲しがるものさ」

「だからってこんなやり方……」

「お前には解らん。こいつの能力はな」

 言いながらベリルに再び麻酔を注射し肩をすくめた。

「女をたらし込むのにもこの容姿なら十分だ」

「!」

 そこはまあ納得するけど……って、違う違う! と彼女は頭を数回振った。

「彼があなたの言うコトなんて聞くのかしら」

「こいつの唯一の弱点は優しさだ。目の前で人が傷つけば自分が傷つく以上に苦しむ」

「苦しまない人間がいる方がおかしいのよ」

「俺は平気だがね」

「……なんて人なの」