「麻酔は頼みたい。痛いのは勘弁だ」

「だから! やる訳ないで……っ痛いの?」

「人と同じにはね」

 驚いたように見つめる彼女を一瞥しクスッと笑う。

「痛みは無いと思っていたか」

「てっきり……」

「とんでもない。痛みで気を失う事もしばしばだ」

「だったらどうしてこんな仕事……」

「私の生きる道は無いのだよ」

「!」

 愁いを帯びた微笑みが彼女の心を突き刺した。

「でも、山や森にこもることだって出来るじゃない」

「私は仙人ではない。人の世に絶望もしていなければ人を嫌っている訳でもない。自身の持つ力をより良く使いたいだけだ」

「……」

 嫌な人……じゃ、ないのかな……?