「もらうぞ」

「え?」

 右手に携帯を持ちカーナビの下のボタンを左手で操作する。

「ワオ! 赤外線通信まで出来るの? 凄いじゃないこの機械。どこに売ってるの?」

「売っとらんよ」

 さらりと言いながら電話をかける。傭兵の中にはこういった特殊な機械を使っている者も少なくはない。

 ベリルにいたっては道楽で開発している会社なりが試作品をよく送ってくる。

 現代では市販品の発展系が軍に流れるというシステムなのだが、傭兵の間では未だに市販になる前の商品が流通する場合もある。

「ライカか、今から送る画像を見てくれないか。おそらくニキ・オルソンだと思うのだが」

 すぐに切って画像を送る。

「……ニキ・オルソン?」

 数分後、電話が振動してすぐに出る。