マニア・タイフーン

「裏の世界では『公然の秘密』になってるけど、表の世界に知れたら大変な事になるわね」

「それは私だけはないよ」

 肩をすくめる。

「他にも不死がいるってこと?」

「そうではない。人類の歴史にあるべき存在でない部分だ」

「ああ。そういうのって『ミッシング・ジェム』って言うんでしょ?」

 直訳すれば『失われた宝石』だが、要約すれば『人類の歴史の中に埋もれた稀少な存在』という意味である。

「あなたには色んな名前が付いてるのね。『悪魔のベリル』『すばらしき傭兵』『死なない死人』『クラウ・ソラス』……」

「どれも気に入らんがね」

 呆れたようにカフェ・ラテを口に含む。

 ようやくまともに話をしてくれた彼に嬉しくなってさらに体を乗り出した。