週明け、いつものように通勤ラッシュの電車に乗り込み会社に出勤した。
もう、会社に着くまでに疲れ切ってしまう体力のなさには本当に泣けてくる。

私の勤める会社の名前はクロス・ブレーン。
CDなどを作る、レコード会社。
私はそこで一般事務をこなすただのOL。
毎日のように鳴り響く電話に出て、書類を片付けて、パソコンで作業したり、そんな毎日。

会社に着き、更衣室で制服に着替えた私はいつものようにオフィスへ。
机の上には丸められたポスターの山が積み上げられていた。
「あ、岡野さん、おはよう。」
「おはようございます、課長。」
「それ、今日の優先的仕事ね。」
「え?」
「フロアの掲示板にポスター貼りまくって来て。」
「はい…」
「大丈夫、佐伯さんも手伝ってくれるから。」

そう、安奈とは同じ会社。
高校、専門学校と別のトコロに行ったのに入社式でバッタリ会って笑ってしまったくらいの腐れ縁。
仕事では安奈の方が上だけど、そんなの関係なく付き合ってくれる大事な友達の一人だ。
あくびを噛み締めながら来た安奈をつれてポスター貼りに向かった。
丸められたポスターを見るとSakuのCD広告だった。

「え?なんで?」
「なんで?ってSakuは今季からうちの会社と契約したの。契約が決まったときかなり女子社員が騒いでたでしょ?会えるかも~vって。」
「知らなかった…。そうなんだぁ。」
「知らなかったって…、一応は久美も社員なんだから知っときなさいよ。」
「はーい、佐伯主任。」
「こんな時ばっか主任呼びなんだから~。」

「佐伯しゅにーんっ!!!」
「何ですか?山田主任。」
「すいません、これから大事な会議だそうで呼んで来いと言われて…」
「はぁ。わかりました。急ぎます。」
「では、自分も会議の準備がありますので。」
山田主任はそう言うと足早に去っていった。
私と安奈が所属するのは広告宣伝部、たしか山田主任は広報だったかしら?
突然入った会議にため息を漏らし肩を落とした安奈は私に『後は任せたわ、ゆっくりでいいから。課長には伝えとく。』と残して足取り重く会議に向かっていった。