「蓮朱が?」
「烏は我等が支配下に置く使い魔ですが、彼女だけは誰の支配下にも入らず従うことない使い魔。そして、使い魔以上の力を持ち崇められている存在でもあるのです。」
「そんなに偉い子を…私ったら、すみませんっっ。」

床に額をつける勢いで慧と相模に頭を下げる桜。
そんな桜のもとに窓にとまっていた蓮朱が優雅に舞い降り、二人に見せ付けるかのように、桜と目を合わせたあと頭を正座する桜の膝に付けた。

「どうやら、そいつは桜の事を気に入ったらしいな。」
「名前を付けた時点で彼女が姫様の支配下に置かれることを望んだのですね。」
「え!?」
「使い魔が、頭を主になる者の足に付けるのは服従を誓うと言う意味になるんですよ、姫様。」

「や、やだ、蓮朱っ、頭を上げて?私は蓮朱に服従なんて望まないよっ、友達になってくれるだけで十分なの」

桜の言葉に頭を上げた蓮朱がふっと笑うように目を細めると、
風が部屋の中に吹き荒れた。