18歳を迎えた桜は重い足取りで学校に行き、授業を受けた。
友達から『おめでとう』と言われても今日は素直に喜ぶことが出来なかった。
そんな帰り道、異変は起きた。
桜の足元、正確にはアスファルトからいくつもの腕が現われ体を引きずり込まれた。

足に付きまとう手の感覚が気持ち悪くて硬く目をつぶっていた桜が、手の感覚がなくなったことにホっとして目を開けるとそこは空だった。

「!?きゃーーーーーーーーっっっ!!何で、空中なのよーーーーっ!!!」

「そのでけぇ声、どうにかしろ。」
「え・・・?」
落下の感覚が消え、聞こえてきたのは不服そうな声。
その持ち主を見て桜は目を見開いた。
何せ、その背に黒い羽が生えていたのだから。

「こ、ここ・・・」
「あ?」
「日本じゃないの・・・??」
「って、おいっ、しっかりしろ!!」