相模を連なって離れへの渡り廊下を歩く。

慧が離れの襖を開ければ

六道天狗と呼ばれる臣下達が顔を揃えていた。

「おー、ご当主、久しぶりやな。」
「お久しぶりです。お元気そうでなによりです。」
「いつ見ても、男前ねぇ♪郷に帰りたくなくなるわぁ。」
「慧様っ、お久しぶりでございますっ。」
「ご当主、姫様は?」


慧が部屋に入るなり、次々に口を開く。

「相変わらずだな、お前ら…。」
はぁ…っと重い溜息をついて、当主である慧が腰を下ろした。


「で、各一族の動きは?」

慧の一言で、和やかな空気だった部屋は一変しキュっと引き締まるものになった。

「どの種族も、姫様がコッチにいることは薄々気付きはじめたな。」

「まぁ、厄介なんはあの強引な馬鹿犬やな。」

「切れ目で妖艶な蘭様も忘れちゃいけないわよ〜。あっ、でも一番は慧様に決まってるからっ。」

「手ごわいのは蛇もですねぇ。」
「お、俺は慧様なら誰にも負けないかと!!」

「そうか…、水神の娘がコッチに来ていることが確信となれば徐々にヤツラの臣下も集まるな…」