住宅街に囲まれた一帯を通り抜け、そこから少し離れた場所に駅はある。改札口までいくと、丁寧に説明までしてくれた。




「冬星学園行の特別仕様の通行証があって、それを改札口に通すだけ。春田さんのは学園の手違いでまだできてないらしいから、今日は僕ので一緒に通れるよ」

「うん。冬星学園ってどんなところ?パンフレットまだ詳しく見てないの」

「星に纏わるところ。最近できたばかりの学校で、設備も充実してるし、絶対楽しい学校生活送れるよ。僕が保証する」



すごくいい笑顔ではっきりと断言される。今日初めて会ったばかりなのに、信じようと思えるから不思議だ。



「今度お礼するね。色々迷惑かけちゃったから」

「いいよそんなの。僕が君にしてあげたいだけだから」

「でも!」

「電車もうすぐ来るよ」



先を歩く小柄な王子様の背中を慌てて追いかける。ホームは人でごったかえし、何度もぶつかりそうになったりはぐれそうになったりしていると、ふいに差し出された手。



「ほら手」

「え、」

「危ないから」



そのまま車内に乗り込むまで、ずっと手は繋いだままだった。



生まれて初めて繋いだ異性が、こんなかっこいい男の子なんて夢みたいだ。



入学早々こんなことになるなんて思いもしなかった。小柄な王子様の隣で、ちょっと気恥ずかしさを覚えながらも、その整った顔立ちをそっと見つめた。