家を出た瞬間、思わず立ち尽くしてしまう。



 道路で小柄な男の子が猫と遊んでいた。しかも自分と同じ学園の制服を着ていて、二度ビックリする。


 男の子は顔をこちらに向けて、やわらかく微笑む。



「やっと会えたね」



 やっと……?



 前に会った、かな? こんなにきらきらしてる王子様みたいな男の子と……。



 記憶のどこを探しても男の子の姿はない。



「あのー前に会ったことがあるんでしょうか?」

「……ごめん、変なこと言った。実は春田さんを迎えに来たんだ。一緒に行こうよ」



 子犬みたいな愛くるしい男の子の申し出を断れるはずもなく……。つい、首を縦に振ってしまった。



「よかった。迷惑だったらどうしようかと思ってたから」

「ぜ、全然迷惑なんかじゃないです。心細かったので……」

「だよね。でも、そんなに不安がらなくても大丈夫だよ。僕がいるから――さ、早く行こう」



 気後れしつつも、小柄の王子様みたいな男の子の後をついていった。正直不安だったこともあり、ほっとした。