「美咲ちゃんには冬星学園に行って欲しいの。新しくできた学校でね、書類審査だけでいいのよ」

「学生寮もあるし、最新の設備も整ってるぞ。家のことは何も心配しなくていいんだからな」


 収入だって苦しいはずなのに……。頭まで下げられたら、嫌だなんて言えるはずがない。

 これが両親の望みだ。


「うん……そこまで言うなら」


 渋々承諾をする。どこに隠していたのかわからないが、母がどら焼きを山ほど持ってきた。一体いつ買ったのか……こんな大量のどら焼きを。


「今日はお祝いよ。ほら、パパも美咲ちゃんもたくさん食べて食べて」

「なんせ、どら焼きで有名なあのどら屋だからな」

「う、うん」



 冬星学園入学許可の通知が届いたのは、それから数日後のことだった。