「やります! オレ 絶対やります! 火事でも地震でも洪水でも

絶対やります!」


日村先生は 真剣な眼差しだった

勿論 オレも 真剣な眼差しで 先生を見た


「そう・・・じゃあ とりあえず それをやってみて」


へ?


「他には?他には 何かやる事ないんですか?」


「ないわ」


オレは 拍子抜けした 丸坊主になる覚悟までしてきたのに

やるのは 毎朝の『お水上げ』だけ・・・


「それと 今度 今あなたの住んでいる所に行くわ」


「うちに・・・ですか?」


「そう」



ピロロッ ピロロッ


この部屋の 電話が鳴った


「はい 日村です」


日村先生が 電話をとった

相手は どうやら 先ほど受付にいた女性らしかった


「わかりました じゃあ 待合いのイスにかけて 待ってもらっていて下さい」


オレは 腕時計を見た


『2時35分』


恐らく 次の相談者か受講者が 来たのだろう

日村先生は 電話を置いた


「時間・・・みたいですね」


「ええ・・・これでも結構忙しいのよ」


それは 樹花から聞いて知っていた 

FPの講師は 他に数名いるらしいが

樹花が習っている先生は すごく人気があって

予約が難しいと言っていた


「最後に もう一言 いいかしら」


オレは 日村先生の 言葉をたくさん吸収したいと思っていた