「陽介とどういう関係?」


「あの………どちら様ですか?」


"陽介"って、条地陽介のことでしょ…?


この人、何が聞きたいの?


「私のこと知らないの?!」

「え…あ、はい」


知らないに決まってるじゃん!!

今日来たばっかりだし…


「変わった人もいるものね…。私は中西紗希(なかにし さき)。理工学部の4年よ。ここじゃ、私のことを知らない人なんていないの。で、あなた名前は?」


あぁ…

この人にはなるべく関わらない方がいいかもしれない……


「……七元凜です。」

「七元…凜。やっぱりあなたね。陽介とどういう関係なの?」

「いや、だから、さっきから言ってる意味が……」

「とぼけないで!理事長とも親しく話したりしてるそうじゃない。急に転校してきたかと思えば……、ほら、言いなさいよ」

「それは………」


なんて言えばいいのかな…

父さんがリストラされて

知り合いだった理事長に、今はお世話になってる


だから陽介くんとの個人的な関係なんてない


「言っておくけど、陽介はあなたなんか相手にしてないわよ。どういう手を使って近付いたか知らないけど、はっきり言って迷惑なの」


「迷惑って……別に私は何も…」

「まぁいいわ。見たところ、そんな目立つような子じゃなさそうだし、きっと噂も何かの間違いだったのね」

「噂…?」

「だいたい噂なんてすぐ消えるもの。信じた私がバカだったわ。それじゃ、失礼♪」

「え……ちょっと…」


なんなのよ…あの人

噂……ってなに…?