「凜ちゃん!」
玄関からもう一人出てきて、私を呼ぶ
春人くんだった
「あ、どうも…」
少し傾けた程度の礼をすると、ニコッと笑ってくれた春人くん
やっぱり優しい人だな…
…はっ!?
ってことは…
「なんだ、兄貴とはもう知り合い?笑」
意地悪に笑うこいつが…
「昨日少し話した程度だよ。な、凜ちゃん」
「え?あ…はい…」
春人くんの弟…?
二人は…兄弟?!
「ふーん…あっそ。じゃ」
「え…」
門を開け、どこかに行こうとする陽介くん
「あ、そうだ凜ちゃん。俺の代わりに陽介と一緒に行ってきてくんない?」
「はい?」
行くってどこに…
「おい兄貴…女なんか連れて行ったって邪魔なだけだろ」
……んなっ!
「でも俺、今から仕事の用事で電話しなきゃいけないんだよ。荷物なら陽介が持てばいいだろ。それに買い物は女性がいた方がスムーズにできるし。ていうか、凜ちゃんに対して邪魔なんて言うなよ。失礼だろーが」
春人くん…
やっぱりいい人だね…
それに比べて、なんなのこいつは!!
私のことバカにしてない?
「じゃあ、一人で行くからいい。おい、お前は来るな。残ってろ」
「待てよ陽介、一人で行ったらまた騒ぎになるぞ?なんなら凜ちゃんを彼女に仕立てて、連中を大人しくできるんじゃないの?」
騒ぎ…?
連中…?
どこに行こうとしてるのかも知らないし…
二人がなんの話をしているのかもわかんない
っていうか…
二人が兄弟なことに、まだ信じきれてない状況だし、
陽介…だっけ?
むちゃくちゃ性格悪そうじゃん……
陽介くんとたまに目が合うのが、なんとも気まずい…
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