「一緒にいたいって言われたけど、俺がいたくないから」
「………―」
「そんな怒った顔すんなよ…!だって変に期待持たすよりかは、キッパリと言った方がいいだろ?キツイ言い方にはなったかもしれないけど、自分のためにも相手のためにも、こうする方がよかったんだ」
「………ぅん」
全く怒ってなんかない
ただ顔が真剣になってただけで、怒ってなんかない
そもそも怒る理由がないじゃん
亮はいつも自分に正直
何をするにも
相手が誰だろうとためらわない性格
そう……
こんなに亮のこと理解しておいて、矢島華子のこと応援するなんて最初から無理なことだったんだ
亮は………私を好き
その気持ちを知っておいて
亮の性格を知っておいて
私は矢島華子と亮に最低なことをしてしまった
でも
私がなにより最低なのは
これ以上………
亮に期待を持たしてしまうということ
亮に"好き"という感情はない
これから先も、きっと。
だから…私も亮と一緒にいたらダメなんだ
亮は大切な友人
香留も一緒で、二人は私の中でかけがえのない存在
だからこそ、私なんかのために人生を無駄にしてほしくない
「あ……、って俺が言える立場じゃねえや!はは」
照れ臭そうに笑う亮の横顔を、じっと見つめた
"自分のためにも"
"相手のためにも"
私………
恋した方がいいのかな…
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