あの翌日に私ものすごく怒っちゃったしな…


"払ったんだから、お礼ぐらい言ったらどう?"


陽介くんの機嫌が悪かったのも全部私のせいだったんだね


あぁ………


私ってほんと最悪


つくづくバカ。


"そういうのはちゃんと確かめて言え"


あれの意味が分かった


何も知らないで………


私が一番最低かもしれない…



「今からお礼言うのも、遅くないんじゃない?」

「………え」

「今日の分はサービスしとくから、その代わり彼にちゃんと伝えなさい」


「え…でも…」


「いいからいいから。さぁ行きなさい」


家の前に着き、降りた途端タクシーは行ってしまった


運転手さん……

なんていい人



「…ありがとうございます」


見えなくなったタクシーに私はお辞儀した



ちゃんと伝えれるかな…


ほんとに遅くないかな…



無言の優しさ

後になって分かる良さって、こんなにも心に染みるものなの?



私がお金に気付いてないことを陽介くんはすぐに分かってたはず


それなのに

あの日も買い物袋を持ってくれたり


強引だったけど、その時も微かに気付いたんだ


何を考えてるのか分からないけど、陽介くんの優しさはちゃんと伝わる


そして実感させられる

それが陽介くんの魅力……

陽介くんのことなんて、何も分からないって思ってた



でも今なら


分かる気がする





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