授業終了のベルが鳴り響き、ざわざわ人が溢れてくる



広い中庭に並ぶベンチに座り、晴れ渡る綺麗な空を眺めた




七元 凜
(ななもと りん)


このA大に通いだして三年が経った


得に目立つこともなく、平凡な毎日を送っている女子大生



「ナナ!!」



買ってきた昼食のパンを頬張る手前で誰かに呼ばれ振り返った


「いつ来たの?」

「さっき。今日、午前中は授業がなかったからね」


「やっぱり。朝見ないと思ったんだぁ。あ、私にも一個ちょうだい♪」



そう言って、袋からもう一個のパンを取った友人



佐倉 香留
(さくら かおる)


高校から一緒で、このA大を受けるのも二人で決めたんだ



学科は違うけど、毎日こうやって話ししたりしてる



「ねぇナナ〜」



あ、ちなみに"ナナ"は私のあだ名です。

苗字の七元から由来する



「ん?」


「お願いがあるんだけど」


パンを食べながら肩を寄せてきた香留


またか…‥


今回は絶対行かない


「断る」


「まだ何も言ってないじゃん…!」

「もう分かるよ。どうせまたコンパでしょ?人が足りたいから、人数合わせで参加してほしい!でしょ?」


「あぁ…‥へへ」

「だから断る」


「そんなこと言わないでさぁ、一緒に行こうよ〜」


「嫌」

「ナナ〜」

「い―や」





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