花が咲く頃にいた君と

「許してやろう。でっ、あたしはどうすればいいの?」


ちょっと泣いてすっきりした。


それに嘘か本当かは分からないけど、あたしは捨てられたのではないらしいから、少し気が楽になった。


ふかふかの布団に頬を当てて、顔を出しついる羽毛を引っ張った。



「とりあえず、生活は今まで通りに、けど帰る家はここ、…だから」


またあたしが泣き出すんじゃないかって、東向日の語尾が弱くなった。



「わかった」



あたしが返事したのと同時に、扉がノックされる。


「開いてます」


静かに扉が開いて、ココアの甘い香りが鼻を掠めた。


「初川さん、ありがとうございます」



初川さんはココアを東向日に渡すと、部屋を出ていってしまった。


東向日はベッドを背もたれにして腰を下ろすと、ベッドの外に投げ出したあたしの足をつついた。


「ココア、好きでしょ?」


顔を起こすと、片膝をついてあたしにマグカップを差し出す東向日が目に入った。


ズルズルとベッドを伝って、東向日の隣に腰を下ろす。