花が咲く頃にいた君と

目に見えてシュンとなるあたし。


東向日は優しくあたしの手を掬い上げた。



「ちゃんと話をしよう」


子供を諭す様な声に、あたしは頷いた。


手を引かれて、東向日の後に続く。



「初川さん、僕の部屋にホットココアをお願いします」


そこにいた初川さんは、何も言わずに頭を下げて、どこかへ消えてしまった。



長い長い廊下を二人で歩く。



オレンジの室内灯が、東向日の背中を照らす。




初めて握る十夜以外の、異性の手。



目がそこばかりにいく。


意識はしてる。

なのに、緊張はしない。


むしろ波立つ心が落ち着いた。