花が咲く頃にいた君と

東向日はやんわりと笑みを浮かべるとあたしの前にしゃがみ込んだ。



「独りで怖かったの?」


優しい声に、素直に頷いた。


「ん、独りにしてごめんね」


何で東向日が謝るのか不思議だった。


だけどその声色は子供をあやすように優しくて、ひねくれたあたしの中にもゆっくりと染み渡っていく。


東向日は、だぼだぼ、よれよれ、のカーディガンから使い古されたケータイを取り出してあたしを見つめたままどこかに電話をかけ出した。


「はい、」

「僕の目の前に」

「南館の一番端です」


東向日は電話の向こうの人に、話をしているはずなのに、まるであたしが話しかけられている様な感覚になった。



「部屋どこにするか決めたの?」


彼はあたしと同じ様に膝を抱えて座り、長い袖から指先だけ出した。