花が咲く頃にいた君と

「結女ちゃん、私ずっと怖かったよ。死ぬことがじゃない。結女ちゃんが、私の前から居なくなることが!」



悲痛な言葉に、あたしはただただ目を見開いて固まった。



「怖かったのは、結女ちゃんだけじゃないんだよ」



差し出された手、あたしは漸く知った。


“怖い”と思うこと、あたしだけじゃない、小夜もずっと感じていたのだと。



「だからもう居なくならないでよ。ずっと“友達”でいよう」



大好きな笑顔
差し出される手


あたしの感情は弾けた。


「小夜!」


か細い身体を抱き締めて、何年も探していた温かさに触れた。



「小夜!!」


小夜を抱き締めていた時だった。


男の声で、誰かが呼んだ。



「お兄ちゃん!」



小夜はあたしを抱き締めたまま、その人を呼び手を振った。


自然と目がその先を追ってしまう。
小夜の笑顔につられて、肩越しに振り返ったあたしは、今度こそ逃げようと思った。