花が咲く頃にいた君と

「待って!」


あの頃、小夜は走るなんて出来なかったのに。



今はあの時とは違う。


何でも無いように、距離を埋めて、腕を掴まれた。


それに驚いたのは、言うまでもない。




「待ってお願いだから…」


あたしは何も言えずに、小夜から視線を外した。


「結女ちゃんはわたしが嫌い?」

「そんなこと!」



あたしは慌てて否定した。

けどそれは間違いだったかもしれない。

小夜にこのまま嫌われてしまえば、もうあの恐怖に苛まれることもだいだろう。


「じゃ、なんでわたしから、離れて行こうとするの?」