花が咲く頃にいた君と

あたしは家に帰り、さっそく十夜からお母さんの話を聞いた。



最初は泣きながら


『“優香さん”そう呼ぶだけで涙が出てくんだ。だから結女になかなか話てやれなかった。こんな情けない俺、見られたくなかったんだよ』



そう言いながら、顔を涙でぐしゃぐしゃにした十夜は、ゆっくりと聞かせてくれた。


お母さんがどんな人だったのか、お母さんが起こしたエピソード


初めて聞く話に、あたしは小学生の様にはしゃいだ。




あたしは思う。
お母さんの話をして泣いてしまう十夜は、決して情けなくなんてない。


むしろカッコイイと思う。


お母さんのことを一途に思って、泣ける十夜をあたしは優しくてカッコイイ“お父さん”だと思う。



お母さんの写真の前に、ご飯を供えながら、お母さんがいたこの部屋で、いつまでも忘れないように


胸に刻み付けるように、あたしたちは夜が明けるまで


話続けた。
笑って泣いて、とても楽しい時間だった。





引っ越したのは、それから三日後のこと。