花が咲く頃にいた君と

「あいつの場合、優香さんは“思い出”じゃないんだ。まだ過去にしきれてないだ。

だから時々あいつの中は、まだ優香さんを中心に回ってる。それじゃダメだって、あいつも気付いたんだろ。」



もう死んじゃった人を中心に、十夜は成り立ってるなんて


やっぱり十夜には、あたしはそんなに重要な存在じゃなかったのかな。



「十夜、あたしと居て、辛くないのかな…?」

「いきなり、どうした?」


何だか考えてると、凄く悲しくなってきた。



「だってあたしは“お母さん”に似てるから、見てて辛く無いのかな?」

「さぁな、本人から聞いてみれば」



下宮比さんが、ニヤっと笑えば

突然一階の方で“ドンがらガッシャン”なんて凄まじい音がすす。


今まで静かだった分、ビックリして体が揺れた。



「結女!」


聞き慣れた声が、二階の自宅に繋がる階段を駆け昇ってくるのが聞こえた。



勢いよく開く玄関。
あたしと下宮比さんの視線は、そこにずっと注がれてた。


「ほら、迎えが来た。ちゃんとあいつから話聞きな」



下宮比さんはあたしの頭をポンポンと撫で、奥の部屋へと消えていった。