花が咲く頃にいた君と

どんなに拒絶したって、決定権は十夜にある。



ならば、少しでも納得してあたしここの部屋を出ていきたい。



「そんな目ってなんだよ?」

「時々、泣きそうな目してるから…」

「何だよ、それ」



十夜は自嘲の笑みを浮かべた。



「十夜は後悔しない?
お母さんの思い出いっぱい詰まってるんだよ?」

「わか、んねぇ…」

「別に思い出に浸ったっていいじゃん!だって、十夜はお母さんのことが好きなんだから

毎日だって、会いたいと思ってるんだから
きっとこの部屋出ていったら、お母さんが遠くなっちゃうよ…」



あたしは精一杯の気持ちだった。


夜風が部屋に流れて、あたしの髪を揺らしす。



十夜は俯いて何も言わない。


時計だけがカチカチと、時を刻む沈黙の中

何処か遠くで、サイレンの音が響いた。