花が咲く頃にいた君と

いつも通りバイトから帰ると、珍しく十夜が部屋にいる。


だけど、見慣れたスエット姿ではない。


金色の髪を靡かせ、グレーのスーツをビシッと着こなした十夜だった。



あの立て付けの悪い窓の枠に腰を下ろして、片膝を抱える十夜は、ホストと言われても疑う余地の無いほどにかっこいい。



「結女、引っ越すか。ここから」


スーパーの袋を、台所の床に置いたあたしは

思わず振り返った。



「何で?」



十夜は月を見ていた、その瞳をあたしに向けた。


「引越したがってたろうが」

「…けど、そんな突然」

「別に突然でもねぇよ。ずっと考えてたんだ」



十夜はそう言いながら、再び月へとその瞳を戻した。