真っ白な廊下を右に突き当たって


ちょっと影を落とす階段を登る。


一階、二階、
上がる後とにあたしの鼓動は速くなり、それに合わせるように足も速くなる。


速く、速く、速く、


……―行かなくちゃ




何だかわからない感情に突き動かされながら、

あたしは必死に階段を駆け上がる。


四階のフロアに降り立った時、

あたしの緊張はピークに達していた。


自然と呼吸が荒くなって、けれどそれを隠すように深呼吸を繰り返す。


ゆっくりと歩く廊下は、やっぱりどこか見覚えがあって、辺りをキョロキョロと見渡しながら歩いた。



長い廊下を抜けると、ナースコーナがあって

そこを曲がると、次の廊下からは病室が並んでいた。



「結女!」


フラフラと、直感だけで歩くあたしの肩を

誰かが思いっきり引いた。



意識が現実に引き戻されたみたいな感覚だった。

おずおずと振り返ると、息を切らした東向日があたしを止めた。



「東向日」

「どこ行く気?」

「わかんない」

「なら、朋哉さんに会いに行こう」

「待って!わからないけど、行かなくちゃいけない」


こんな意味のわからない感情は初めてだった。