花が咲く頃にいた君と

目の前には“冬城十夜”

書面越しに何度も観てきた名前。


資料の中には、写真もあった気がする。



「俺に何の用ですか?」

「あら、名乗ってくれないの?」

「名乗る義理はないですから」

「つれないねぇ…。“如月”くん」


いきなり肩に回された腕、目を見開いた。


いや、肩に腕を回されたことに対してじゃない。

“冬城十夜”が俺の名を読んだことに対してだ。


「わりぃな。こっちも“娘”守んのに必死なんだわ」



俺と同じくらいの身長の男。表情は見えないが、耳元で囁かれる声は切ない。


「何で俺に話し掛けたりなんか…」

「お前の目が本気だったから。

何も見えて無いくせに、腹だけはくくった様な目。

“まるで生きる屍みたいな瞳”俺はその目をよく知ってる」



カッと頭に血が上る。

なんなんだ、この男は。


「お前に何がわかんだよ。勝手なことばっか言うなよ」