花が咲く頃にいた君と

「俺は東向日の財産なんかいりません!貴方に全て差上げます」


俺の言葉に、男性は瞳細めた。


何かを探るように、俺を見下ろしている。




「けど、“金”は必要なんです。だから!」

「お前に一千もやるつもるはない。金が必要なら、俺から奪い取れ」



俺の話を遮り、男性は瞳を細めたまま、厭らしく鼻で笑った。

そして俺を一瞥すると、身を翻した。



「病気の妹が居るんです!心臓を移植しないと、妹は死んでしまう」


必死の訴えだった。
別に財産なんていらない。

ただ、妹を、小夜を救うだけの金が欲しいだけなんだ。


「なら死ねば良い」


あまりにも残酷な言葉に、俺は耳を疑った。

男性は肩越しに振り返り、俺を見据えて冷たくいい放つ。



「仮にお前の妹へ金を出して、俺に何のメリットがある?」


俺は押し黙ることしか出来なかった。


“小夜が生きる”ってことは、俺にとってのメリットで男性にとってはなんのメリットにもならない。


だって、小夜と男性には何の接点もないのだから。



「弱者など、居ても居なくても同然。なら死ねばいい。価値のない人間に金をつぎ込んだところで、メリットは生まれない。溝に捨てたも同然だ」


俺は固く拳を握り押し黙った。



目の前の男を殴ってやりたいと思った。