花が咲く頃にいた君と

多分、1年くらい悶々としていたんだと思う。


東向日朋哉は、その間にも入退院を繰り返した。


そしてベッドに寝る度、口にする。


『孫を連れてこい』と…。



そんなある日、いつもの様に、病室へ入ると

見知らぬ人影を見た。



その男性は、シワ1つ無いスーツを着こなし、フレームレスの眼鏡をかけた、いかにも出来る男だった。


ベッド脇に立って、明後日の方向を見つめる彼を、男性は何も言わずに見つめていた。




「あの…」

「君が“如月”か?」


冷めた眼差し、ウジ虫でも見るような見下した瞳、第一印象は最悪だった。


「何で、名前?」

「聞いてないのか…俺は君の前に、東向日家の養子に入ったんだ。つまり君の“兄”」



驚きはしたが、信じられない話ではなかった。


男性の後ろにいる彼を一瞥しても、彼は何も言わない。