花が咲く頃にいた君と

来る日も、来る日も、絶望の中にいた。


けどそんなある日、転機が訪れた。





日本屈指の財閥、東向日グループの総帥が孤児院に訪れたのだ。



小さな子供も沢山いる孤児院。


優しい雰囲気が漂う孤児院に、独り威圧的なオーラを放つ、東向日 朋哉。


ビシッと着こなされたスーツ、眉間に寄ったシワ。


何故、彼がこんなところに居るのかが、不思議で仕方なかった。



子供は皆怖がって近寄らず、孤児院の先生ですら萎縮していた。





けど俺は違った。




「僕をおじさんの“息子”にして下さい」



見定める様に細められた瞳、今でも忘れない。



『私の“息子”になるか?』



どこか自嘲的な言葉、皆が怯える中、彼はその瞳を一種優しい色に変え、俺の頭に手を乗せた。



『“人形”になる覚悟があるか?』


幼い俺は無言で頷いた。



意味など解らなかった。

ただ彼の背後に見える、お金の山だけが目当てだった。


それさえあれば、小夜の病気は直せる。



頭にはそれしか無かった。