玲央の声なんて、聞こえない。


鞄をどこに投げ捨てたかなんて、覚えてない。


皆の視線なんか感じない。




ただ、私は走った。






―――――パチンッ






廊下に響いた効果音。


隣にいた桃子の叫び声。




気づいたら私は、ケントくんを殴っていた。




*