男は、にわかには信じられなかった。


むしろ、信じたくなかった。




「……え?今、何て?」



男の質問に、ディレクターはニヤリと笑って答えた。




「…本来なら、貴方は不合格のレベルなんです。ただ、マイナーな歌を歌うとの事だったので、宣伝も兼ねて敢えて合格にしたんです。」




そのまま、ディレクターは控え室を出て行ってしまった。


残された男は、愕然とした。




「………そ、そんな……………。」






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