初恋は君のために




私はしばらく腕を
かきむしると




今度は自分の腕を
落ち着かせるように

小さく丸まって
しゃがんだ。




頭をよぎるのは…



コースケの言葉、



過去の苦しみ、



私はアイツから
逃げられないんだ。



アイツが帰って来た今


私に自由なんて物は

ないに等しかった。





「ミナミ!」



普段、ジンさんが
大きな声を出すなんて
聞いた事もなかったから



私を呼ぶその
低く良く通るジンさんの声に私の心臓がドクンと揺れる。