「はい、ではまた明日」 先生のそんな声は、けたたましいチャイムの音にかき消されて聞こえない。 学校の一日の終わりを告げるチャイム。 私が大好きな音。 椅子から立ち上がると、 軽く駆け足をして教室を出た。 廊下では壁に寄りかかって立ち話をする生徒たちが、いくつかいる。 通行には支障はないが邪魔だ。 単純に邪魔だ。 「チっ」 人に聞こえないくらいの舌打ちをしてみる。