控え室に入るとソファにもたれかかる隼人さんが目に入った。
そんなん珍しくて、慌てて近づく。
『隼人さん?具合悪いんですか?』
隼「ん…あぁお前か」
何か目線も虚ろで酒くさい。
酔ってる……珍しい。
『酔ってるんですか?水要りますか?』
隼「酔ってないよ」
『いやいや……はい、水』
冷蔵庫から常備したミネラルウォーターを取り出し渡す。
それを受け取って隼人さんはソファに座り直した。
『大丈夫?』
隼「………俺さ、女好きやねん。客には手出さへんけど」
『え…ふふっ、みんな知ってますよ』
隼「でも…ほんまに好きにはならへんねん」
『何で…?』
隼「居なくなってまうから。居なくなってもうたから」
『…それが例の捜し人、ってヤツ?』
隼「慎さんの彼女…かぁ。どないしよ、アイツやったら」
『似てる人間なんてザラにいますよ?』
隼「そうかな…まぁ8年も前やねんけどさ」
『随分昔なんですね…』
隼「…そう言えば、お前も少し似てるな」
『え…?』
隼「お前がアイツなら良いのになぁ……」
…ふわっと、隼人さんの匂いと体温が私を包み込んだ。
.



