鏡の前には着飾った私。 …菜穂さんに近づけるため、普段以上に華やかに施されたメイクの自分は、自分ではないようで。 なんだかそれだけで、心許なくなった。 結局、捺生さんには一度も会えていない。 声を聞くことすら、叶わなかった。 焦りと緊張だけが、身体をつつんでいく。 呼吸が、うまくできない。