「みんな聞こえたな?」












イヤホン越しに聞こえていた久々の翔央の声が懐かしい反面、泣き声混じりで胸が締め付けられた。




去り際にかけたと思われる由樹さんの声がかっこよくて、自分だったら良かったのにな、と少し思った。













「...まぁあのレベルの女装はあいつにしか無理やろ」



「晴樹ももう少し背がちいこければな」



「そうですねぇ……」


《おい、まだこっち通話切れてないで。今チビ言うたの雅やろ。後で覚えとけよ》


「え、ちゃうやん。俺ちゃう、隼人やで?」



「は?!アホか、思っても言わへんわ!」



《隼人、後でお仕置きな?》



「え!由樹さんちゃいますって!」










焦る隼人さんを見て笑いが溢れる。








そして、こんなやり取りがあった時には必ず隣で一緒に笑っていた彼女の事を思った。

















「さて。ここからは慎重に行こう。お姫様の奪還や」












もうすぐ、

もうすぐ。








きっと君に手が届く。










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