雅「晴樹?」
晴「…」
皆の話を無表情で聞いていた晴樹はゆっくり目を閉じ首を横に振った。
由「何やの?」
晴「…こんないっぺんにいろいろ聞かされても、分からへん。…解んないよ」
最もだと思う。
一番近くにいながら、一番遠くに在ったのは晴樹だ。
それだけに腹立たしい事もあるやろう。
慎「晴樹、ごめん。あの子が悪い訳ちゃうねん、」
晴「…知ってます」
慎「え?」
晴「何も知らんかったけど、翔央が良い奴なのは知ってる。ずっと一緒に暮らして来たんやもん」
比「…それが分かってれは十分や」
晴「え…」
雅「…晴樹は今回の事で翔央が嫌いになった?」
晴「…」
しばらく俯いて考える様子だったが、晴樹はそれを否定した。
晴「いいえ、…知らない人みたいで、寂しかっただけです」
慎「…お前の長所は素直なところやな」
雅「うん」
比「お前は文句だけ考えてればいい。言いたい事吐き出して、スッキリせぇ」
由「最初で最後かもよ?晴ちゃんが翔ちゃんの事叱れるの」
晴「…はい」
雅「一緒に迎え行こな?」
晴「はい!」
久しぶりに見た晴樹の笑顔。
部屋の中が暖かさで溢れた気さえした。
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